樺沢紫苑さんの著書「言語化の魔力」を読みました。
樺沢さんの著書は、ほぼ全部読んでますが、今回の書籍は今までの著書とはなんか雰囲気が違うなと感じていました。
それがなんなのか?言語化できないでいたのですが、巻末を読んで「なるほど!そういうことか!」と納得しました。
エビデンスに頼りすぎない
最近のビジネス書は、科学的根拠・エビデンスを示す本が増えています。
これまでの樺沢さんの著書も、多くがエビデンスを論文ベースできっちり示した説得力のあるものでした。
それはそれで説得力がありますし、正しい可能性が高いものと言えるでしょう。
ですが、論理だけでは動けない人も多いのが人間というもの。
本書「言語化の魔力」は、科学的根拠となる解説はあまり含まれていません。
ですが、樺沢さんの精神科医としての30年間の経験、YouTubeで4000件もの悩みに答えてきた体験。
これをベースに悩み解決方法の集大成としてまとめあげたのが本書「言語化の魔力」です。
同じ幻冬舎から発売された、前田裕二さんの「メモの魔力」を意識したと思われるタイトル。
前田裕二さんの著書も、自身の経験と本音の文章によって、人の心を動かす情熱的な本です。
本書もエビデンスは少なくとも、経験・体験をベースにさまざまな悩み解決の方法がわかりやすく示されている実用的な内容といえます。
悩み解決の方法論
具体的に悩みをどのように解決していくか?
言語化するというのは、実はその一部の方法でしかありません。
まずは、
1.自分でコントロールできることに関して悩む
2.未来でも過去でもなく今にフォーカスする
3.他人を変えるのではなく自分を変える
という3つの視点で悩みに向き合っていきます。
その上で、
・悩みに対して見方を変えていく
・自分一人で悩まない
・言語化する(書く、話す)
・良い習慣を増やし、悪い習慣は減らす
といった方法で悩みを改善する行動に少しずつ取り組んでいきます。
私自身個人コンサルティング業務をたびたびしますが、多くの人にとって必要な視点であると感じます。
どんなアドバイスをしていくのかというバリエーションを増やせるようになりそうだなと感じました。
やれることを、やれる範囲でやっていく
悩みの多くは、何かをすれば一瞬で問題解決をするというものではありません。
だからこそ、「悩みを解決する」ことをいきなり目指そうとすると、やり方が分からず思考停止になりやすくなります。
大切なことは、やれることを、やれる範囲でやっていくこと。
本書の中で紹介されていた言葉でしたが、とても心に響きました。
悩みが解決できないと、視野が狭くなってしまいます。
人に相談すれば、すぐに解決できるようなことでも、一人で抱え込んでしまい長いこと悩むことになってしまったり。
あるいは、行動をしないでずっと止まったままになってしまう。
一気にやらなくても、やれることを、やれる範囲で少しずつやっていけば問題は着実に解決していきます。
一番問題なのは、悩みをそのままにして、なんの行動もせずに現状を維持してしまうこと。
なにも問題がなければ現状維持でも悪くはないのですが、好ましくない状態であればそこを現状維持する必要はありません。
少しずつでも、やれることを、やれる範囲でやっていこう。
そう思えた一冊でしたし、そのために具体的にどんなことができるのか、どんな考え方で悩みと向き合えばいいのか?
具体的な方針を示してくれる、人生を楽にしてくれる素晴らしい一冊だと感じました。
今、なにかしら悩んでいることがある人。
あるいは、悩んでいる人に対してなんらかのアドバイスをする立場にある人。
どちらにとっても、大いに参考になりますので、読んでみてくださいね。