投資・株主優待

【感想】プロ投資家の先の先を読む思考法(藤野英人著)

こんにちは。守屋 (@shinichiroweb)です。

藤野英人さんの著書「プロ投資家の先の先を読む思考法」を読みました。

結論から言うと、

「ひふみシリーズの投資信託に興味がある」

「個別株の株式投資で長期的に勝てる秘訣を知りたい」

「未来を先読みして投資やビジネスに役立てたい!」

という方にはうってつけの1冊でした。

著者の藤野英人さんは、「ひふみ投信」「ひふみプラス」など、ひふみシリーズの投資信託の最高投資責任者であり、レオス・キャピタルワークス株式会社の代表取締役会長兼社長。

ひふみシリーズの投資信託には、何年も前から注目していました。

というのも、とても理念のある投資信託だなと感じていたからです。

理念なあるだけならまだしも、運用成績もめちゃくちゃいい。

その秘密が、この本の中にありそうだと思って、偶然Amazonでおすすめに出てきたのをきっかけに読んでみました。

そこで学べた、いくつかの投資やビジネスに役立つ考え方をまとめてみます。

人間の心理を書店で人気の本を見て推測


まず第一に印象に残ったのが「投資をするタイミング」について書かれた一言。

投資をするタイミングをざっくり考えると、それは「多くの人が悲観的なとき」に投資をすべし。

逆に多くの人が「今、買えば儲かる!」と思っているときは、高値である可能性が高い。

今思えば、2020年に感染症の流行で大暴落が起きたときに株を買っていたら、めちゃくちゃ儲かっていました。

まさに、感染症流行時は相場が総悲観になっていて、この先どうなるかわからないという状況でした。

私もあのとき株を持っていましたが、底値付近で怖くなって売ってしまい結果的に投資資金を半分くらいに減らすことになってしまいました。

人間の市場に対する心理を推測する指標として、藤野さんは書店に並んでいる本を観察することを推奨していました。

「主婦の私でもできた100万円を1億円にする株式投資」「自動投資でラクラク稼ぐ」といった、強気の投資本がズラっと並んでいるときには、株は買わないほうがいい。

一方で、

「ヒーリングのすすめ」「自分を許す生き方」

といったテーマが売れ筋の主流のときは、株の買い時だと考えて良いとのこと。

身を持って体験して、たしかにそうだろうなと思える投資のタイミングの話でした。

今、起きている変化を生活者として捉える

タイミング良く投資ができたら、選ぶ銘柄は何でもいいというわけではありません。

ビジネスにしても、頑張っていたらいずれ報われるかというと、そうとは限らないでしょう。

今、起きている変化を察知して、未来にとって有効な打ち手を考えていくことができれば、より良い選択をすることができます。

個別株の銘柄選びを考えるなら、自分がユーザー目線で見ることができる商品やサービスを扱っている企業に注目することをおすすめされていました。

これは、世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏も同様のことを言っていました。長期投資をするのであれば、自分が多少なりとも興味のある分野や詳しい分野から入っていくのが良さそうです。

だからこそ目の前にある、わずかな変化を見逃さずに察知することで、未来を読むことができます。

一方で、その先を読む力は、ある程度の感性を持っていないと使うことができません。

その感性を磨くためには、「フラットな視点」を持つことが重要だと藤野さんは言います。

フラットな視点を持つためには、先入観を持たずに情報に接していくことが大切。たとえば・・・

①SNS(ツイッター)でランダムにフォローした人を定点観測

藤野さんはランダムに選んだ3万人をツイッターでフォローして、1日か2日に1回程度、5〜10分かけてツイートをざっと眺めていくという定点観測をしているそうです。

そうすることで、フラットにいろいろな目線の人の考え方が入ってきて、多様な面から物事が見れるようになっていきます。

SNSでの表示というのは、「自分が見たい情報」にパーソナライズして表示されるケースも多いです。だからこそ、あえてランダムにフォローして、ツイートをチェックしていくことが重要なのだとか。

これはAmazonなどで本を選ぶときにも言えそう。パーソナライズされた情報が出てくるので、自分が興味を持ちやすい情報が見つけやすくなる一方で、インプットが偏る可能性があります。

②ファミレスで過ごしてお客さんを観察する

ネット上の情報は、どうしてもフィルターがかかって偏ってしまう可能性は否定できません。

だから、リアルで情報を得ることも重要です。

藤野さんは、ファミレスで1、2時間を定期的に過ごして、まわりのお客さんの会話に耳を傾けることを勧めます。

そうすることで、まさに今目の前で起きている変化に気付くことができるのです。

リアルの情報収集が大切ということですね。読書する本を選ぶのも、ネット書店だけでなくリアルな書店でいろいろな棚を見ていくことで幅広いインプットができそうです

③分野を横断してたくさんの本を読む

もう1つの情報収集の手段が、読書をして本からインプットをすること。

藤野さんは月30冊ほど買っているそうですが、全部読むのは5〜6冊。残りはパラパラと眺める。

それでも、十分情報収集として機能しているそうです。

必ずしも、自分の専門分野の本だけでなく、異なる分野の本にも手を伸ばすと、相乗効果が期待できます。

④並行していろいろな趣味をやる

インプットだけでなく、趣味としていろいろなことに挑戦するのも楽しみながら仕事や投資に役立つことが学べます。

ただし、漠然とやるのではなく、ある程度のレベルまではいけるよう真剣にやること。

目標としては、「8割の出来を目指す。」ことが提案されていました。

もちろん、やってみてつまらなかったりしたら辞めてもOK。

楽しめそうだと思ったら、最初に集中して学んで実践して初速をつけていく。

そして、ある程度できるようになったら、練習の頻度を落として楽しめる趣味として続けていく。

そんな趣味の取り組み方が提案されていました。

⑤若い感性を取り込む

そして、最後にある程度の年齢になった人であれば、自分よりも若い人と付き合い、自分たちの年代にない感覚をつかんでいくことが大切だという提案がされていました。

年齢を重ねると、どうしても興味を持つ対象や考え方が古くなってしまいます。

実際に、若い人と付き合うからこそ、若い感覚を養えるということなのです。

自分の感覚を信じて株式投資をしても良いのかもしれない

私自身、ここ数ヶ月投資の勉強に取り組んできました。

本を何冊か読み、YouTubeでさまざまな投資系YouTuberさんの動画をチェック。

自分自身でも分析し、実際に気になった銘柄も買ってみる。

そこで感じたのが、時間をかけて勉強して分析すれば稼げるってわけでもないなってこと。

最低限のチャート分析や財務分析はしていきますが、それ以上に「この商品やサービスは有望」と感じた会社に長期投資をしていくのが、一番労力対効果が良い投資になっているような気がします。

それでいいのかどうかと感じていたのですが、結論は「良い」のだと本書を読んで感じました。

自分の体験をベースにした未来予想は意外と精度が高い。

少なくとも、株式投資の銘柄選びに関しては、かなり有効だと思われる。

それがわかっただけでも収穫でした。

さらに、その精度を上げるための情報収集の仕方まで紹介されていたので、とても学びになる一冊でした。