読書

小商いのすすめ 平川克美著【感想】

タイトルに惹かれて読んでみた「小商いのすすめ」

小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ

なんだか、タイトルとはずいぶん違った内容のように感じた。あー、これおじいちゃんの小難しい演説を最後まで聞かされるのかなってイメージを持ってしまったのですが、そんなことはなく素晴らしい内容でした。

それもそのはず、タイトルと内容の相違については、著者もそのことは重々承知のようでした。

東日本大震災の少しあとに発売された本書は、著者が震災を体験したことでガラッと本の方向性を転換することになったそうで。

印象に残った点としては・・・

出生率の低下は将来に不安があるからではない

若者はお金を持ってないとか、だから結婚できないとか、保育園が足りないとか、いろいろ問題が挙げられるものの、それは違う。

そもそも、ここ1000年くらいを見て、将来に不安を感じた時代はたくさんあったにも関わらず、ここまで人口が減少する少子高齢社会にはなったことがない。

これは、将来に対する不安以外の何かの要因があるはずである。

というのが著者の考えです。

縮小均衡という考え方

基本的に経済は右肩上がりに成長していくことを目指して、国も会社も動いています。

実際、今まではそれが可能だったわけですが、日本においては少なくとも、そういう時代はもう終わっています。

景気がいい人や会社もあれば、悪い人や会社もいる。トータルとしての経済成長はなかなかできない。そういう縮小均衡の時代であることを認め、それに合った対応をしていかないといけない

「小商いのすすめ」とも言うくらいですから、そこで登場するのが「小商い」です。

成長することを前提としないビジネスや商売を「小商い」と考えれば良いようです。

ソニー創業者の井深大さんも創業理念は極めて小商い的だったとのこと。

「小商い」というのは事業の規模や売上とは関係なく、経営者や事業主、会社の方向性や理念から来るもののようです。

人口減少社会については「移行期的混乱」の本の中に、小商いのヒントとしては「計画と無計画のあいだ」の本に詳しくあるとのこと。本書の中では「なぜ、小商いが必要なのか?」という提案と、そこに至るまでの歴史が中心であり、具体的な手法は別の本に譲るという形でした。

その点、なんだ答え教えてくれないのかって感じはありますが、縮小均衡を目指すべき段階に日本が来ているという考え方は、1つのアイデアとして考えながら動いていく価値があるのではと思いました。

小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ
小商いのすすめ 「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ